CR(コンポジットレジン)修復

コンポジットレジン修復

現在行われている むし歯の治療法でも非常に一般的な方法にコンポジットレジン(CR)修復という方法があります。コンポジットレジン修復は、コンポジットレジンというレジン(プラスチック)を歯に接着剤を介して直接口腔内で詰めるというものです。特に小さなむし歯では第一選択枝となり、クラウン(冠)大の大きなむし歯でも使用できる方法です。

コンポジットレジンはレジン(樹脂、プラスチック=有機質)の中にセラミック(無機質)の細かい粒子がコンポジット(複合)されている材料です。すなわち、コンポジットレジンはプラスティックに強度をだすセラミックが配合された材料です。

ミニマルインターベンション(Minimal Intervention:MI)

2000年にFDI(国際歯科連盟)でむし歯治療法の考え方に大きな方向転換が行われました。

保存修復学の父といわれるG.V.Blackのむし歯治療の基本概念である予防拡大の見直しです。齲窩(むし歯の穴)がない、歯が脱灰している状態の初期むし歯では再石灰化が可能であるということからの方針で、この頃にはコンポジットレジンも接着剤も材料としての質が向上してきていました。

2002年のFDIではMIによる むし歯の管理に関する公式声明が行われました。

ミニマルインターベンション(Minimal Intervention:MI)とは 健康な歯の構造を可能な限り維持し、予防的方法を含めて むし歯を管理するというもので”最小の侵襲”による治療を選択するという考え方です。

FDI STATEMENT: MI in the Management of Dental Caries

▶Modification of the oral flora:口腔内細菌叢の変容
▶Patient education:患者教育
▶Remineralisation of non-cavitated lesions of enamel and dentine:エナメル質及び象牙質におけるむし歯の穴のない病変の再石灰化
▶Minimal operative intervention of cavitated lesion:むし歯の穴がある病変への最小の侵襲による修復処置
▶Repair of defective restorations:不良修復物の修理

CR修復の特徴

1.基本1回で治療が終わる

 →直接、口腔内で作業を行うので1回で治療を終えることができる

2.健全な歯の部分を多く残すことができる

 →接着剤で歯にレジンを詰めるため、インレー(詰め物)やクラウン(被せ物)に比べて削る量を少なくすることができる

3.金属アレルギーの心配がない

4.目立たない

 →歯の色に近い色の材料なので目立ちません

5.保険診療で採用されている

6.インレー修復よりもむし歯になりにくい

 →セメントではなく接着剤で詰めるので隙間ができにくくむし歯になりにくい

7.欠けても修理が可能

CR修復の弱点

1.すり減りや欠ける場合がある

 →噛む力に負けると欠けてしまいます。場合によっては異なる治療法を検討することになります。 

2.色の変化がみられる

 →昔に比べ変色は少なりましたが、どうしても色調の変化がみられる