口腔習癖 口呼吸と鼻呼吸

 常時、口で呼吸する”口呼吸(こうこきゅう、くちこきゅう”は学童期に生じる咬合異常の原因と考えられています。ヒトは鼻が詰まった時には、鼻呼吸(びこきゅう、はなこきゅう)の代わりに口で呼吸をすることができます。しかし、日常的に口が開いた所謂”ポカン顔”の状態は様々な問題を引き起こします。

〔鼻呼吸の役割〕

① 空気中の埃を取り除く=鼻毛

② 鼻の粘膜に空気中の細菌を吸着、排出する=鼻粘膜

③ 吸気の加湿、加温

④ 脳の温度を下げる

〔口呼吸の問題点〕

① 空気中の埃、ごみ、細菌がそのまま咽頭、喉頭、肺へ入る

② 乾燥し、冷たい吸気がそのまま咽頭、喉頭、肺へ入る

③ 脳の冷却効果がない

➡口呼吸により

 ①扁桃が乾燥し免疫力が低下する

 ②呼吸器感染症(風邪、インフルエンザなど)などを生じやすくなる

 ③口腔が乾燥し、歯周病や歯石沈着症などを生じやすくなる

 ③集中力が低下、学力の低下、精神不安定などを生じる

口呼吸の特徴

 ① ポカン口

 ② いびき、浅い睡眠、寝汗やおねしょ(夜尿症) などの睡眠障害を生じる

 ③ 食事が遅い

 ④ 猫背など姿勢が悪い ➡ 気道を確保するために下顎を前に突き出す。突き出すと頭が前にいき、自然に姿勢は悪くなる。頭は重たいので、支えるために頬杖をつくなどすると顎のゆがみにつながる。

 ⑤ 風邪をひきやすい

 ⑥ 歯列不正や咬合異常、顎の変形を生じる場合がある

鼻と口

鼻=呼吸器 鼻→咽頭→喉頭→気管→主気管支→肺

  主たる役割:酸素交換

  感覚器 特殊感覚=嗅覚 空気中の化学物質を感じ取る

口=消化器 口→咽頭→食道→胃→小腸→大腸→肛門

  主たる役割:栄養摂取

  感覚器 特殊感覚=味覚 液体に溶けた化学物質を感じ取る

〔治療〕

口呼吸の原因が、鼻閉塞の場合には耳鼻咽喉科での診療が必要となります・気道、特に鼻腔、上咽頭部の粘膜の腫れによるものは加療が必要となります。

歯科的には、低位舌や頬杖癖などの習癖の改善、矯正治療が必要となります。

2019年09月20日