レントゲン


レントゲンとは

 レントゲンとはドイツの物理学者Wilhelm Conrad Rontgenが発見したX線(Xray、Rontgen Rays)のことを通常さします。
 歯科領域でレントゲンは画像診断に利用されたり、がん治療に利用されたりしています。
 硬組織を扱う歯科領域においては、レントゲン検査をはじめとする非破壊の画像検査は極めて診断に有効です。当院では歯科用CTを導入して、必要に応じて診断に役立てています。

レントゲン撮影の安全性

 日本は被爆国であり、最近も原子力発電所からの放射性物質の拡散により放射線に対して気にしている人がたくさんいらっしゃります。放射線被ばくの問題点は、細胞が傷つくことにより生じる細胞の癌化や発生障害などです。細胞へのダメージは一度に多くの放射線を浴びないと生じないため、歯科医院で行うレントゲン撮影は安全です。

■ 安全性の確保① 防護エプロン

 レントゲン撮影の際には、防護エプロンを身に着けていただいています。防護エプロンの使用により放射線被ばく量をほぼゼロにすることができます。

■ 安全性の確保? レントゲン室
 
 レントゲン室の壁や扉には鉛が埋め込まれ、外部に放射線が漏れ出すことはありません。

■ 安全性の確保③ 歯科のレントゲン
 
 そもそも歯科で行うX線撮影の被ばく量は少なく、人体への害はほぼ無いといってよいほどです。

放射線量の目安   放射線量(mSv)
医療 胸部X線CT撮影 6.9
自然 1年間にうける放射線量(世界平均) 2.4
医療 頭部X線CT撮影 2.0
自然 1年間にうける放射線量 (日本平均) 1.5
医療 胃部X線撮影 0.6
自然 飛行機による東京~ニューヨーク往復 0.2
医療 デンタル14枚法(アナログ) 0.15
医療 胸部X線撮影 0.09
医療 歯科用CT 0.04
医療 パノラマ(アナログ) 0.04
医療 デンタル(アナログ) 0.01
医療 パノラマ(デジタル) 0.01
医療 デンタル(デジタル) 0.006

※自然放射線:X線は放射線の1種です。宇宙から降り注ぐ宇宙線、太陽光線の他、身の回りにある大気、大地、建物、植物からも放射線が出ており、これらを日常生活の中で浴びています。これら自然界に存在する放射線を自然放射線といいます。

『デンタルX線写真撮影』 歯を部分的に撮影します。いわゆる 小さなレントゲン。


『パノラマX線写真撮影』 顎骨の全体像の把握ができる。顎の関節や上顎洞などデンタルX線写真で確認できない部位も診ることができる。いわゆる 大きなレントゲン。

 

歯科用CT装置

 歯科用コーンビームCT(3次元X線断層撮影)は空間分解能が高く(0.1㎜単位で診断が可能)、金属の影響をうけにくく3次元的に診断ができるため様々な病気の診断に有効です。
 一部の症例で保険適用となったため、3割負担で3500円ほどで撮影が可能です。

『CT撮影に有効な病気』  
顎関節症 顎関節の形態の精査ができる
親知らず 下顎神経の通る下歯槽管との位置関係などを把握できる
埋伏歯 埋伏歯の位置関係を立体的に把握できる
がんや顎骨壊死など 骨の状態を立体的に把握できる
難治性の歯内疾患 根尖病巣の状態や破折などの把握ができる
上顎洞 上顎洞炎の状態を確認できる *
矯正 矯正前の顎骨、歯の状態が立体的に把握できる *
歯周病 骨の状態が立体的に把握できる *
インプラント 骨の量やインプラントの埋入方向が立体的に把握できる *

*保険適用外

妊娠とレントゲン撮影

 胎児への放射線の影響を心配する妊婦さんがたくさんいらっしゃいます。胎児に影響が出る放射線量は直接50~100ミリシーベルトmSvと言われています。大きなレントゲン写真撮影(パノラマ)で0.01mSvですから影響がないことわかります。また、口と腹部の距離は離れており、防護エプロンをつけていただきますので安心です。

インプラントとCT/MRI撮影

インプラント体(フィクスチャー)がチタン製である場合にはMRI診断に影響はありません。CT診断には影響がでる場合があります。基本的にCT撮影では入れ歯は外して撮影する必要があります。

特殊な画像検査


・頭部X線規格写真(セファロ):主に矯正治療に用いるレントゲン写真です。正面から撮影するものと、側方から撮影するものがあります。
・核磁気共鳴画像法MRI:軟組織の精密検査です。顎関節円板の状態確認ができます。
・嚥下造影検査VF:摂食嚥下障害の精密検査です。特殊な装置が必要になります。

2019年09月12日