現在、日本人の半数は花粉症を発症しており、何らかのアレルギーをもっている可能性があります。歯科・口腔領域でも歯科修復材料へのアレルギー(金属アレルギーなど)やグローブへのアレルギー(ラテックスアレルギーなど)、食物アレルギー(牛乳由来成分などへのアレルギー)、口腔アレルギー症候群、シェーグレン症候群(涙腺や唾液腺に生じる自己免疫疾患)、麻酔へのアレルギーなどが問題となっています。
Gell&Coombsのアレルギー反応の分類(1963)
クームス分類 | 代表的なアレルギー | |
T型 | 即時型 アナフィラキシー型 |
アトピー型気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、PIE症候群、食物アレルギー、花粉症、気管支喘息、アナフィラキシーショックなど ※反応が急激で激しい場合、アナフォラキシーという |
U型 | 細胞障害型 細胞融解型 |
不適合輸血による溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性溶血性貧血AIHA、特発性血小板減少性紫斑病ITP、薬剤性溶血性貧血、願粒球減少症、血小板減少症、リウマチ熱、Goodpasture症侯群、重症筋無力症、橋本病、円形脱毛症、ウイルス性肝炎など |
V型 | 免疫複合体型 |
血清病、全身性エリトマトーデスSLE、関節リウマチRA、急性糸球体腎炎、リウマチ性肺炎、過敏性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、シェーグレン症候群など ※過敏性肺炎=V+W? シェーグレン症候群=V?W? アレルギー性気管支肺アスペルギルス症=T+V+W? ※局所的なものをArthus型、全身的なものを血清病とよぶ |
W型 | 遅延型 細胞性免疫 ツベルクリン型 |
アレルギー性接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、過敏性肺炎、結核性空洞、癩、サルコイドーシスの類上皮細胞性肉芽腫病変、天然痘・麻疹の発疹、ギランバレー症候群、金属アレルギー、薬剤性肺炎、シェーグレン症候群など。 ※過敏性肺炎=V+W? |
X型 | Riottらにより提唱された分類。U型から独立させたもの。Graves病(バセドウ病)、甲状腺機能低下症など。 |
金属アレルギーは、お口の中で金属イオンが流出し生じるV型アレルギーです。ピアスや時計などにかぶれる人は金属アレルギーである可能性が高いです。
■ 金属アレルギーの特徴
金属アレルギーは花粉症が突然発症するように、閾値を突破したときに症状が現れます。初期状態ではクラウンや義歯の金具が接している頬や舌、歯肉が赤や白に腫れます。重症化すると手の平や足の裏などに水泡ができる皮膚炎(掌蹠膿疱症)や全身にアトピー性皮膚炎が生じたりすることもあります。
■ 金属アレルギーの治療
アレルゲン(抗原)が何かを特定します。この場合は、皮膚科・アレルギー科で検査が必要です。
お口の中で使用している金属がアレルゲン(抗原)であった場合には、アレルゲン金属の完全除去が必要となります。以後、再発を避けるためにアレルゲン金属による歯科治療を避ける必要があります。
■ 保険用金属
歯科で使用される金属は、保険用金属として定められたものを用いています。基本的には安全な金属です。しかしながら、全ての金属で金属アレルギーは発症するため絶対に安全な金属はありません。またメタルインレーやメタルクラウンは常に口の中にあるため常に金属イオンは溶け出し、体に吸収されているため金属アレルギーが発症する場合があります。
保険で使用されるインレーは、子供だと銀合金、大人だと銀合金か金銀パラジウム合金が用いられます。金銀パラジウム合金も銀の含有量は50%を超えているので、銀にアレルギーのある人は注意が必要です。
※パラジウムもアレルギーの人が多い金属です
また、歯の詰め物として用いられる歯科用水銀アマルガムは水銀を含むため、アレルギーになる可能性がある詰め物です。
金属のインレー | セラミックのインレー |
銀合金、金銀パラジウム合金、白金加金、金合金など | セラミックス ※レジンのインレーもありますが、強度は不十分です |
土台(ポスト・コア)は金属あるいはレジンで築盛します。
保険の冠は12%金銀パラジウム合金で製作します。症例によっては硬質レジンブロックを用いたCAD/CAM冠も保険適用となりました。
保険外の場合にはオールセラミックスセラミックスやオールジルコニアクラウン、ジルコボンドなどがあります。
保険の部分床義歯はクラスプ(金属製のバネ)を歯にかけることで口腔内に保持させるクラスプデンチャーです。そのため、金属を必ず使用することになります。
ノンメタルクラスプデンチャーはバネの代わりにを床と一体化した特殊な樹脂材料により製作したアームによって固定する入れ歯です。レスト部は通常金属で製作しますが、金属をまったく使用しないで製作も可能です。
クラスプデンチャー
ノンメタルクラスプデンチャー
歯科治療では、仮歯や義歯の修理に即時重合型のレジンを用います。化学物質に反応しやすい体質の場合には粘膜荒れを生じる場合もあります。
口腔アレルギー症候群は、花粉アレルギーを持つ人が特定の食品(野菜、果物、豆類)を摂取した際に発症し、喉・口の痒み、発赤、腫脹を引き起こすアレルギー性疾患です。通常は一時的で比較的軽い症状ですみます。症状が目に及ぶこともあります。
これは、交差反応によるもので特定の花粉と特定の食物に含まれるたんぱく質が類似構造をもつためにおこります。
花粉 | 食物 |
スギ・ヒノキ | トマト |
ブタクサ | スイカ、メロン、バナナなど |
ヨモギ | ニンジン、セロリ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、 ジャガイモ、トマト、キーウィ、マスタードなど |
ハンノキ | リンゴ、モモ、イチゴ、メロン、スイカ、キーウィ、大豆、ヘーゼルナッツ、 オレンジ、ヤマイモ、アボガド、ニンジン、セロリ、マンゴー、ジャガイモ、セロリなど |
ラテックスは天然ゴムの成分です。医療用グローブの材料として使用されています。ラテックスアレルギーは、バナナやキウイフルーツ、クリなどの果物と交叉反応を起こす場合もあるのでラテックス・フルーツ症候群と呼ばれる場合もあります。
ラテックスアレルギーのある方は受診時に申告してください。
食物アレルギーは、特定の食物にアレルギー反応をする状態です。
歯科材料としては、リカルデント成分(CPP-ACP)が牛乳由来です。リカルデント成分はリカルデントガムやMIペーストに含まれています。
<特定原材料:7品目>*食品衛生法による | |||
卵、乳、小麦、そば、えび、かに、落花生(ピーナッツ) | |||
<特定原材料に準ずるもの:20品目> | |||
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、 キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ゴマ、さけ、 さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、 まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン |
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