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武蔵境の歯科医院。しらかば歯科です。

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.0422-38-7657

〒180-0022 東京都武蔵野市境1-5-3

小児歯科

小児歯科とは

 小児歯科とは、一言でいうと小児を対象とした歯科診療科です。
 お腹の中(胎生期)から永久歯列期完成(12歳ごろ)、そして顎の成長が終わり親知らずが生える18歳ごろまでが対象です。

『小児歯科の柱』
1)むし歯、歯肉炎の予防 →予防歯科
2)健全な歯列の育成 →咬合育成、小児矯正、咬合誘導
3)健全な口腔機能の獲得 →口腔習癖の是正、摂食嚥下障害

子どもの歯
よくみられる時期
子どもの歯(乳歯)の特徴
歯の形態
 小窩裂溝
 中心結節
 矮小歯
 癒合歯・癒着歯
歯の質
 エナメル質形成不全症
乳幼児〜学童(0〜12歳)
 ターナー歯
 外傷の影響
歯の萌出と位置の
 乳歯の萌出時期
 永久歯の萌出時期
 先天性歯、リガフェーデ病 乳児期(0歳)
 埋伏歯(上顎犬歯)
 大人の切歯の萌出
 萌出位置異常
歯の数
 先天性欠如歯
 過剰歯(正中埋伏過剰歯
 過剰歯(その他)
その他
よくみられる時期
上唇小帯の付着異常 幼児(3〜6歳)
舌小帯付の着異常 幼児(3〜6歳)
上皮真珠(歯肉嚢胞) 乳児期(0〜1歳)
萌出性嚢胞 幼児(1〜2歳)
粘液嚢胞 幼児から学童
(3歳〜12歳)
歯肉炎
 萌出性歯肉炎
 単純性(不潔性)歯肉炎
 思春期性歯肉炎
 若年性歯周炎
口角炎(口角びらん) 全年齢
口内炎 全年齢

子どもの歯(乳歯)の特徴

子どもの歯(乳歯)は大人の歯(永久歯)と異なる特徴があります。
1)生え変わる 
  乳歯の下には永久歯がおり、生え変わりを待っています。
  生え変わるからと言ってむし歯を放置すると、永久歯のむし歯や不正咬合を招きます。乳歯を大切にしましょう。
 
2)むし歯になりやすい
 エナメル質が薄く、脆いため容易くむし歯が進行します。歯髄腔も大きく髄角が発達しており歯髄の感染を生じやすい。
 →予防歯科が重要です。

3)むし歯の痛みが出にくい
 気づかないうちに歯髄が壊死している場合もあります。

4)色は青白色
  象牙質、エナメル質ともに薄く、永久歯の色(黄白色)とは異なります。

5)削れやすい
  永久歯より短期間に咬耗します。

小窩裂溝

 エナメル質表面に形成される小窩や裂溝でう。その深さは人により異なり、溝が深い場合には歯磨きをしても汚れが取り切れない場合もあり、むし歯好発部位となります。溝が歯根象牙質まで連続した場合には歯周ポケット形成の原因となります。
 溝が深い場合には、シーラント(小窩裂溝予防填塞)が有効です。

中心結節(中央結節)

 下顎第二小臼歯に好発する異常結節です。小臼歯、大臼歯にできる他に上顎切歯にできる場合もあり切歯結節といいます。モンゴロイドに多く、形態人類学的には重要な歯の特徴です。
 中心結節は折れやすく、折れた場合には歯髄腔の露出(露髄)や歯髄への細菌感染の可能性があります。そのため、中心結節が見つかった場合にはCR(プラスチック)で補強したり、少しずつ削り内部に修復象牙質(二次象牙質、補綴象牙質)が形成させる方法があります。


矮小歯

 上顎側切歯や第三大臼歯(親知らず、智歯)に見られることの多い形態異常です。退化現象の1つとされます。通常の歯より小さい場合に矮小歯、矮小歯の形が円錐形の場合に円錐歯、円筒形の場合に円筒歯、といいます。また、側切歯では犬歯化(遠心および近心切縁結節の発達不全)がみられる場合もあります。

癒合歯・癒着歯

 何らかの理由で歯の芽(歯胚)が癒合してしまった歯です。乳歯の4%にみられる。むし歯予防や永久歯の生え変わり時に注意が必要となります。永久歯にもみられます。癒合部の溝を早期に充填(シーラントやCR充填)することで汚れがたまりにくくなります。
 むし歯の問題、生え変わりの問題、歯並びの問題などが生じてきますので、定期的なケアが重要となります。

癒合歯の発生部位

1番 下顎の乳側切歯Bと乳犬歯Cの癒合
2番 下顎の乳中切歯Aと乳側切歯Bの癒合
3番 上顎の乳中切歯Aと乳中切歯Bの癒合
『癒合歯の問題点』
1)癒合歯の40〜45%に後継永久歯が足らない
 ※乳歯2本が癒合している癒合歯。そのあとに生えてくる永久歯が1本であることが多くみられます。
2)生え変わりがうまくいかないことがある
3)汚れが癒合部にたまりやすくむし歯になりやすい
癒合歯:隣在する2つの形成中の歯胚が接触し、象牙質レベルでくっついたもの
    歯髄を共有する場合が多い
癒着歯:隣在する2つの形成中の歯胚が接触し、セメント質レベルでくっついたもの

エナメル質形成不全症

 エナメル質形成不全症はエナメル質が形成がきちんとできないまま歯が生えてきたために生じる病気です。10人に1人にエナメル質の形成不全があることが知られています。
 エナメル質形成不全の歯は脆弱で、かみ合わせにより砕け穴があきやすく、むし歯の原因となります。早期に発見してむし歯にならないように予防することが大切です。

『エナメル質形成不全症の特徴』
健常なエナメル質は 透明です。
後天的に脱灰したエナメル質は 白濁しています。
エナメル質形成不全の歯は 濃い白、茶色あるいは黄色をしています。
歯の欠損を伴うと歯の表面がデコボコしていたり、穴があいてきます。 
エナメル質形成不全症の治療
  • フッ化物の応用が重要です。フッ化物を歯に取り込ませて歯を丈夫にします。
  • CR(プラスチック)修復により、歯を修復します。
  • 定期健診を行い、むし歯になる前に治療を行います。

ターナー歯

 乳歯の根尖性歯周炎がその下にある形成途中の永久歯に影響を与えて、永久歯のエナメル質に形成不全が生じた場合、形成不全を生じた永久歯をターナー歯とよびます。

外傷の影響

 1、2歳歯の形成期に乳切歯に外傷を受けると、その下の永久歯のエナメル質の形成不全が生じ、エナメル質減形成を生じる場合があります。それ以降の外傷では白斑として現れます。

乳歯の萌出時期

 乳歯は生後6か月ごろから生え始めます。1歳6か月健診ごろに第1乳臼歯が生え奥歯で噛み始めます。2歳になると20本すべての乳歯が生えます(乳歯列完成期)。

永久歯の萌出時期

 永久歯への生え変わりは幼稚園年長ごろから始まり、小学校高学年である12歳臼歯(第二大臼歯)の萌出により永久歯列の完成としています。つまり小学校の間に顎は大きく変化しているのです。
 小学校の6年間に歯並びが完成するといっても過言ではありません。
 歯並びは遺伝要因の他に、むし歯や外傷、習癖、食習慣などが影響しています。特に小学生のうちはお口のケアに注意しましょう。
 ※第三大臼歯(智歯、親知らず)は通常永久歯列の完成には含みません

永久歯萌出の目安
『萌出の順番と八重歯』
 上顎の場合、犬歯が最後に生えてきます(親知らずを除く)。そのため、萌出スペースが不足していた場合には犬歯は顎に入りきらなくなり頬側に弾き出されます。これが八重歯(低位・唇側転位・上顎犬歯)です。
 欧米ではドラキュラの歯、日本では鬼の歯と言われます。日本では個性的でチャームポイトと捉える文化があります。
※八重歯は本来、乱杭歯(叢生)をさしますが特に上顎犬歯をさすことが多い単語です。

萌出遅延

 平均的な萌出時期から著しく時間が経っているのに歯が生えてこない場合を萌出遅延といいます。

先天性歯、リガフェーデ病

 生まれた時にすでに歯が生えていた場合に出産歯(出生歯)、生後1月以内に生えた場合は新生(児)歯といいます。あわせて先天性歯といいます。古くは魔歯、鬼歯と呼ばれていました。通常、下顎乳中切歯の早期萌出です。
 乳児期に乳中切歯があると哺乳時に乳首を傷つけたり、舌の下面から舌先に潰瘍や線維腫を形成することになります。このように舌にできる潰瘍をリガフェーデ(Riga-Fede)病とよびます。
 治療法としては、抜歯があります。その他の方法では先天性歯を抜いてしまうと、歯の数が減ってしまうため歯を丸めたりCR(プラスチック)でコーティングしたりして傷がつかなくなる工夫をする方法があります。

鬼歯
1)先天性歯
2)過剰歯
3)八重歯(牙のように見える場合)

大人の切歯の萌出

 通常、5歳ごろから下顎の乳中切歯がグラつきはじめ、中切歯に置き換わります。次いで上顎の乳中切歯がグラつきはじめ、中切歯に置き換わります。
 下顎切歯は乳歯の斜め後ろから(エスカレーター式交換)、上顎切歯は真後ろから(エレベータ―式交換)萌出します。

先天性欠如歯

 ヒトの歯は全て生えて乳歯で20本、永久歯で32本あります。何らかの原因で歯の数が最初から足らないものを先天性欠如歯といいます。先天性欠如歯は退化(一種の進化)として知られ、すでに第三大臼歯(親知らず)がない人も増えています。親知らずが無いことは多く、現在では先天性欠如にカウントしなくなっています。人類の歯は減る傾向にあります。
 2007年の日本小児歯科学会による疫学調査(1万5000人対象)によると1割の子供に親知らずを除く永久歯の数が少ないことが分かっています。その8割は1〜2本の欠損で、約1割の人で5本以上歯が生えないという結果でした。
 原因は歯の芽(歯胚)ができなかった
ことによりますが、その多くは原因不明です。
 永久歯が無いことが早期にわかると、その後のメインテナンスや矯正治療、補綴治療を計画的に行うことができます。
 ※6歳ごろには親知らず以外の永久歯の状態をレントゲンで確認することが可能となります。

『先天性欠如歯が判明した後の対処法』
1)永久歯に置き換わらない乳歯を大切に使っていく
2)矯正治療を行う
大人になり乳歯がむし歯などによりなくなった場合、必要に応じて補綴処置(インプラントや義歯)を行う
※下顎が切歯が3本の場合、スリーインサイザルと言います

過剰歯

 正常な歯の他に生えてきた歯が過剰歯です。永久歯が多く、乳歯ではほとんどみられません。約3%の人にみられます。たいていは本来の歯よりも小さい矮小歯です。生える場所、時期、生え方(順生か逆生かどうか)によって抜歯の必要性や難しさが変わってきます。

『正中過剰歯』
過剰歯の中では上顎の正中、左右中切歯の間に生えている場合が一番多くなっています。
この場合には抜歯が必要となります。
例)大人の歯が生えたが、真ん中に隙間が…
  正中離開が残っている場合 正中埋伏過剰歯の可能性もあります。

 レントゲンを撮って確認する必要があります。CT撮影により3次元的な位置が確認できます。

抜歯を行います。
※埋伏過剰歯を放置すると、歯並びが変化したり、含歯性嚢胞を形成したり、隣在歯歯根を吸収したりする場合があります。

乳歯の早期喪失と保隙

 むし歯などにより、生え変わりの前に乳臼歯が失われると後ろの歯が前へ移動し永久歯の生えるスペースが狭くなります。そして歯並びがわるくなります。保隙装置により永久歯が生えてくるまでスペースを確保します。
 
 

低位乳歯

 生え始めた乳歯が上下噛みあう高さまで生えず低い位置(低位)にとどまったり、噛みあっていた歯が外傷などにより低い位置に移動(陥入など)した場合を低位乳歯といいます。
 後継永久歯が無い場合や乳歯の根が骨と結合(骨癒着)をしている場合などがあります。
 噛みあっていない歯は汚れがたまりやすくむし歯や歯肉炎の原因となったり、隣在の歯の移動などにより歯並びに影響を及ぼす場合があります。下顎第一乳臼歯に多くみられます。
 歯並びに影響を及ぼす場合もあるので、定期的なケアが必要となります。

上唇小帯の付着異常

 上唇小帯は上顎の正中、左右乳中切歯・中切歯の間にあり、口唇から切歯乳頭に走っている線維です。通常この小帯は年齢とともに細く短く退縮していきます(※年齢とともに付着位置が高位から低位へ)。ただし太いままで中切歯の間が閉じないまま(正中離開)の状態の場合には切除手術を行う場合もあります。
 歯磨きの際には、仕上げ磨きでゴシゴシ磨いた場合に小帯を傷つけ歯磨き嫌いになることもあるので、小帯を避けるように左右分けてみがくと痛くなく磨けます。


舌小帯の付着異常

 舌小帯の付着が強い場合に舌の動きが悪くなり、滑舌(発音機能)や飲み込み(嚥下機能)などに問題を起こします。舌を前に突出させると先端が2又に分かれる(ハート型、分葉舌)のが特徴です。
 ナ行、ラ行、タ行の一部(タ、テ、ト、ダ、デ、ド)の発音があいまいになります。小学校にはいる前に手術の必要があるかを判断しましょう。
 当院ではレーザーがありますので、比較的楽に手術を行うことができます。

上皮真珠(歯肉嚢胞)

 歯の形成過程で吸収されずに残った歯堤が角化したものです。乳歯が生える前の乳児期(0〜1歳)の歯肉に1〜数個見られます。上顎前歯部に現れることが多く、粘液状の内容物が含まれるため歯肉嚢胞、見た目が丸く白または黄白色の真珠のように見えるため上皮真珠と呼ばれます。
 自然に消えてなくなるので経過観察となります。

萌出性嚢胞

 萌出中の乳歯により薄くなってきた歯肉が内出血を起こし紫色に腫れる場合があります。これが萌出性嚢胞です。歯が歯肉を突き破って出てくれば自然に治ります。傷がついて腫れる場合もあるので必要に応じて切開して、歯の萌出を助ける場合もあります。


粘液嚢胞

 唾液腺の出口が傷ついてふさがってしまうことによって、唾液が唾液腺から排出されず溜まると膨らんできます。これが唾液の貯留による嚢胞です。
 口腔内の粘膜には多くの小唾液腺が分布し、また大唾液腺の開口部があります。小唾液腺に生じた唾液腺貯留嚢胞が粘液嚢胞です。
 子どもで多いものは下唇にできる5oほどのもので、口唇腺が傷ついてできたものです。舌下部にできるものはブランダンヌーン嚢胞(BlandinNuhn嚢胞)とも呼ばれます。
 自然治癒する場合もありますが、粘液嚢胞を噛んだりするためになかなか自然治癒は難しいものです。当院にはレーザーがありますので、麻酔後レーザーで除去を行います。

歯肉炎

 子どもの歯肉炎には”萌出性歯肉炎”と”単純性(不潔性)歯肉炎”があります。
 萌出性歯肉炎は歯の萌出時に一過性に生じる炎症です。腫れは次第に減っていきます。歯肉弁の炎症が強い場合には切除を行う場合もあります(歯肉弁切除術)。
 不潔性歯肉炎はプラークコントロールが不良な場合に生じるものです。歯磨きの確認が重要です。
 特殊なものとしては小学生高学年から中学生”思春期性歯肉炎”があります。思春期の性ホルモンの変化により生じるとされていますが、はっきりとした原因は不明です。ひどい場合には”若年性歯周炎”とよばれる歯槽骨の吸収を伴う病状になることもあります。

口内炎

 子どもの口内炎は病原体によって大きく3つに分けられます。
1)アフタ性口内炎(ふつうの口内炎)
2)ヘルペス性口内炎
3)カンジダ性口内炎 です。

  • 1)アフタ性口内炎
 口腔粘膜についた傷が潰瘍化したもの。薬やレーザーなどによって症状を抑えます。
  • 2)ヘルペス性口内炎
 単純ヘルペスウイルスによるウイルス・感染症です。0〜3歳児によくみられる。喉痛(扁桃痛)、発熱など風邪様の症状が2、3日続いた後に高熱になります。口唇、頬粘膜や舌に小さな水泡ができ、これが割れてビランとなり、痛みやよだれがみられます。歯肉炎も起こり、口臭もでることがあります。通常2週間から6週間ほどで治癒します。口の中をきれいにしておきましょう。ただし、歯肉を磨きずぎるとかえって炎症がひどくなる場合があるので注意しましょう。
 症状が強い場合には嚥下痛もでるので脱水に注意しましょう。

  • カンジダ性口内炎
 カンジダ・アルビカンスによる真菌・感染症。体調が悪い時に生じます。